熟成のメカニズム


オーク樽

そもそも樽熟成とは何かという問題ですが、これを端的に説明するのは中々難しいです。なぜかというとまだオーク樽の熟成のメカニズムそのものが今だに全て解明されていないからです。

ただ解っている事を解り易く言うと、「オーク樽の香味成分が原酒の中に溶け出して、あの独特な味や香り、そして色を醸し出す」という事です。

学術的に言うと、樽材からはリグニンやポリフェノール(タンニン質)という成分が溶け出し、樽の中の無色透明の原酒と反応し合って、新たな熟成香を生じます。そしてリグニンは、甘い香りのバニリン(バニラの主成分)という芳香物質を生んで、ポリフェノール等の成分が原酒を琥珀色に変えるのです。

いずれにしても、ここで重要な役割を果たすのは樽を構成しているオーク材なのです。人間は長い歴史の中でこのオーク材に酒を旨くする不思議な力を見いだしました。

もし樽にオークが使われることが無かったとしたら、我々はあの深く芳醇な味と華やかな香りに出会う事も無く、まことに味気ない人生を送らなければならなかったことでしょう。